![]() |
|
![]() |
お茶の美味しさは、香り、旨み、渋み、苦みの各要素が一体となって微妙なバランスの上に成り立っています。このバランスが美味しさの秘訣です。お茶の品質の優劣、特徴を見極める方法は、人間の五官に依存する官能審査法と科学的機器を用いて各要素を分析・数値化する手法の2種類あります。
しかし、科学分析の結果は、品質の裏付的、補助的な要素が強く、人間の官能によって総合的に判定される審査結果には及びません。
官能審査は、茶に精通し味に鋭敏な熟練の審査員が、茶葉の外観、香り、味を厳しく審査しています。
お茶の品質の良否を飲み分けることは古来より盛んに行われているようで、中国では宋の時代「闘(とう)茶茗(めい)戦=茶の良し悪しを格付け論じる」が行われ、日本では茶歌舞伎、茶香(か)服(ぶき)、利(きき)茶(闘茶会)と称し、南北朝、足利時代の初期にかけて盛んに行われましたが、次第に賭博的な遊技となり、足利尊氏の建武式目ではこの種の茶会合(茶寄合)を禁制になったほどです。
下表は官能審査で等級付けされたお茶の味を科学機器で分析した化学成分表です。
味の化学成分含有量(乾物中)「お茶の化学」より
| 茶の種類 | 等級 | 全窒素 (%) | カフェイン (%) | 遊離アミノ酸 (mg/100g) | テアニン (mg/100g) | 粗タンニン (%) |
| 玉露 | 上級 | 6.31 | 4.04 | 5,360 | 2,650 | 10.78 |
| 玉露 | 中級 | 5.48 | 3.10 | 2,730 | 1,480 | 13.40 |
| 煎茶 | 上級 | 5.48 | 2.87 | 2,700 | 1,280 | 14.70 |
| 煎茶 | 中級 | 5.35 | 2.80 | 2,180 | 1,210 | 13.30 |
- ・全窒素の含有量は、旨味成分であるテアニンとアミノ酸の指標となります。
- ・テアニンとアミノ酸は、旨味や甘味の成分です。
- ・タンニン(カテキン)は、渋味の成分です。
- ・カフェインは苦味の成分です。
これを見てわかるように、上級なお茶ほど旨味と苦渋味の比が、ほど良くバランスが取れていて味も濃く、中級、下級になるほど苦(く)渋(じゅう)味(み)が強くなります。これはカテキンの量はそれほど大きな差がないものの、旨味成分が減少するからそのように感じるのです。
さて、さわやかな緑色、たっぷりな旨味、「覆(おおい)香(か)」と呼ばれる独特な香気が特徴の、即ち優れた香味が一体となった玉露が高級茶と言われる理由は茶葉の栽培方法にあります。それは、一番茶期の茶芽の成長期に、長期間にわたって「よしず」などで茶園を覆(おお)い、強度の日光遮断を行うという栽培方法(覆い栽培)です。茶葉は日光を遮断することにより、葉緑素と旨味成分が増加し、渋味成分が少ない茶葉が得られます。また香気物質が増し、製茶の加工工程で玉露特有な香気である覆香が生成するのです。玉露用の茶園は、通常の茶園に比べて被覆方法はもちろんのこと、一般管理や肥培条件など極めて入念に行われ、極限的とも言える高度の品質を追求するところから、玉露は高級茶と言われ、贅沢な茶であると言われる理由です。
資料
- 「新茶業全書」 (社)静岡県茶業会議所編集発行
- 「茶の香り研究ノート」 川上美智子著 (株)光生館発行
- 「緑茶通信二号・五号」 世界緑茶協会事務局編集発行
- 「茶の話」缶詰技術研究会編集発行
- 「日本茶全書」 渕之上康元・渕之上弘子共著 (社)農山漁村文化協会発行
- 「緑茶の事典」(社)日本茶業中央会監修 (株)柴田書店発行
- 「お茶の化学」山西 貞著 (株)裳華房発行





